2010年1月10日 イベント報告
 開発協力と経済 特別講演

「もっと貧困軽減に役立つODAを!開発コンサルの現場から」


内容:世界の貧困層にもっと役立つODAの仕組みはどう作っていくべきか元IC Net社代表の米坂浩昭氏に、開発コンサルタントとして援助現場で仕事をしてきた経験を基にざっくばらんに話して頂きます。質疑応答や懇親会も予定しています。

日時: 2010年1月10日(日曜) 13:30〜15:30 開場13:15
場所 : 広尾JICA地球ひろば202  定員 : 35人    参加費: 500円   
詳しい内容などのご質問は ngo@4splus.com NGOクワトロまで
 
講師 米坂浩昭氏
東京水産大学卒、ロードアイランド州立大・海洋政策学科修士修了、JICA職員、IFAD職員を務めた後、日本国内でソフト系の開発コンサルタントがまだ主流でなかった時代、海外での開発支援や独自の経験に基づき、アイ・シー・ネット社を創業、現在では開発コンサルタント業界の5本指に入るまでに会社を成長させる。
代表著書 『裏道国際派』  新潮社OH文庫 2001
JICA協賛、 東京海洋大学国際海洋政策学研究室協賛、 

報告

会場の一部です。会議室がほぼ満員になりました。
小さな会ですので、それほど宣伝はしていなかったのですが。
パワーポイントも無しで、1時間半フリーで話ができるのは、
やはり現場の豊富な経験や見聞があるからでしょう
講演で紹介された雑誌
アフリカの急成長、中国の進出と日本ODA
緒方貞子のインタビューあり。必見

参加人数:34名 
主題:「もっと貧困軽減に役立つODAを!開発コンサルの現場から」講師 米坂浩昭

感想:
JICA共催で対応してもらえたおかげで、会場使用料がかかりませんでした。
202室は広く35名ほぼ満席になりました。つめれば40名入りますが。
イベント通知は隊員OB会メールや学生団体等 前日にCLUB−JPOの国連オフ会が地球ひろばであったので直接宣伝する。
講演内容はODAプロジェクトについて、時間と空間とのギャップ、計画を立てるには現場が一番大切など。今後の開発援助の発想転換。
税金ということを再度確認し、より選択的、集中的に、よりきめ細かい援助


地球広場での講演メモ
− もっと貧困軽減に役立つODAを!−

I. 貧困問題の原点
貧困の軽減こそ開発援助の原点ではないのか。
本当にトリクルダウンするのか。
経済格差の拡大は当然のことなのか。(大学教育と識字教育)
プロジェクトに期待された効果の発現や持続性の向上に問題はないか。(灌漑施設、漁業管理)
貧困層に届く援助になっているのか。(ターゲットグループの特定)

II. 貧困問題の視点
ミレニアムゴール:2015年を目標に、1日1ドル未満で生活する人口の割合を半減させる。飢餓に苦しむ人口の割合を半減させる。すべての子供が男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
アマルティア・セン:基礎的教育と医療の充実による人間的発展、人的資本の形成、社会的チャンスの実現が貧困層の生活の質の向上だけでなく、長期の経済発展を準備する。その逆ではない。日本の例を見よ。(アマルティア・セン著、『貧困の克服』)
Convergence と貧困の罠
我々の利害(ネガティブ):犯罪、伝染病、環境、難民、テロ
我々の利害(ポジティブ):現地生産、外国人労働者、BOP
つい一昔前までの日本の現実(東京の貧民街、敗戦後の貧窮、沖縄返還)
「1800年以前には、おそらく世界人口の85%が、現在の基準でいう極度の貧困に等しい状態で生きていた」(ジェフリー・サックス著、『地球全体を幸福にする経済学』)
「貧乏だけど、貧困ではないよね」

III. 日本のODAは貧困軽減を目指す制度設計となっているのか。6つの「隙間」がある。
1.  資金の隙間(50万円〜200万円、1000万円〜3億円)
2.  スキームの隙間(開発調査の欠陥、無償資金協力の欠陥、技術協力の欠陥、有償資金協力の欠陥、スキーム連携の不足、形から入るマインド)
3.  時間の隙間(アタパディプロジェクト、モデルと現実)
4.  空間の隙間 (現場経験、現場より東京、中央と地方)
5.  人の間の隙間 (計画者と実施者、プロだけ?、日本人だけ?、JICA内不協和音)
6.  こころの隙間 (カースト的世界観、「あいまいな日本と私」、規律の欠如)

IV. 日本のODAの設計変更が必要である。
国家財政難、ODA予算減を前提にする。→ フルセット支援は無理、対象国も対象国内も選択と集中が必要=プログラム化、さらに国益重視は当然
JALになりたくなければ、ゼロベースで再設計せよ。
6つの隙間を埋める。
1.  資金の隙間 → 「少額多数支援」が必要。3億円までは技術協力プロジェクトが使える範囲とせよ。
2.  スキームの隙間 → スキームを組み合わせに要する手続き費用。無償援助(グラント)と有償援助(ローン)だけ
3.  時間の隙間 → 腰をすえて仕事をせよ。
4.  空間の隙間 → (半現場主義でなく)現場主義の徹底
5.  人の間の隙間 → 広範な人たちの参加 (ラオス一村一品プロジェクトの教訓)、日本企業支援も当然、本格的な門戸開放 (「顔の見える」援助は必要だが、「顔が見える」の意味が違うだろう。)
6.  こころの隙間 → 援助機関の責任感と効率性(競争性がないと無理かも?)、再びJICAとOECFへ?、もしくは大幅な民間人材の投入、援助の国際標準

V. (もし時間があれば)、6つの「隙間」を太平洋戦争の日本人と比較してみよう。
1.  資金の隙間(大和・ゼロ戦と三八式歩兵銃)
2.  スキームの隙間(真珠湾後の戦略なき開戦、ワンパターンの作戦、情報の軽視)
3.  時間の隙間(戦力の逐次投入、バンザイ突撃、生還した将兵に自殺を勧める)
4.  空間の隙間 (大本営と前線、敵国商船を攻撃しない日本潜水艦、ホテル大和と輸送船員の戦死者)
5.  人の間の隙間 (陸軍と海軍、日本人と大東亜共栄圏の人々)
6.  こころの隙間 (満州独立をうそぶく関東軍の専横、軍(官)尊民卑、日本軍とスイス軍)